2007-01-01から1年間の記事一覧

「敗因と」 第4章 --- 七色 --- P.124 〜

P.124 〜 (文:金子 達仁)〔ヒディンクへの質問と回答〕(中略)Q4、 ドイツ・ワールドカップでの日本代表を、オーストラリア代表監督だったあなたは、どのような評価をしていたのか? A4、 日本代表は技術的に素晴らしい。戦術的にはやや守備的が基本…

「敗因と」 第3章 --- 確執 --- P.109 〜

P.109 〜 (文:木崎 伸也)2002年大会の期間中にプールサイドで行われたバーベキューでは、中田浩二はトルシエとともに中田英寿をプールに突き落としたことがあった。彼はこの無口な男とフラットに接することのできる数少ない人物なのである。ドイツ・…

「敗因と」 第3章 --- 確執 --- P.101 〜

P.101 〜 (文:木崎 伸也)人間というのは不思議なもので、いったんジーコの手腕についてダメだと思うようになると、レギュラーが保証されている選手までをも否定的な目で見るようになってしまう。ジーコでなければ、この選手は先発してないだろう、という…

「敗因と」 第3章 --- 確執 --- P.98 〜

P.98 〜 (文:木崎 伸也)変わったのは周りの態度だけではない。代表にブランクがあったことが、中田英寿の周囲への接し方をひどくぎこちないものにしていた。 ボランチのパートナーである福西を、テレビカメラが撮影している目の前でどなりつけたこともあ…

「敗因と」 第3章 --- 確執 --- P.94 〜

P.94 〜 (文:木崎 伸也)中田英寿と他の選手たち------とくに黄金世代------との間に溝ができたきっかけは、怪我による長期離脱にあった。(中略)そんなとき、2005年3月、ワールドカップアジア最終予選のイラン戦という大一番で、中田英寿が代表に復…

「敗因と」 第3章 --- 確執 --- P.92 〜 P.94

P.92 〜 (文:木崎 伸也)日本代表が宿泊していたボンの4つ星ホテル『ヒルトン』は、ライン川沿いの見晴らしのいい場所にあった。 窓を開ければ左手にはケルンのテレビ塔が見え、右手にはジーベンゲビルゲと呼ばれる標高500メートル級の山並みが広がる…

「敗因と」 第2章 --- 団結 --- P.84 〜

P.84 〜 (文:戸塚 啓)ドイツワールドカップの期間中、三浦は宮本に電話をかけている。確かブラジル戦の前だったはずだ。 「言葉には感情が出るでしょう?ツネは賢い人間だから、人の悪口とかは一切言わない。言わないけど声のトーンとかで分かる。ああ、…

「敗因と」 第2章 --- 団結 --- P.78 〜

P.78 〜 (文:戸塚 啓)時間でしょうか、と土肥洋一は言った。ドイツ・ワールドカップの日本代表に一体感をもたらすには何が必要だったのか、という質問への答えである。「ジーコが監督になってやってきた中で、海外組、国内組という感じで言われてきて。ア…

「敗因と」 第2章 --- 団結 --- P.73 〜

P.73 〜 (文:戸塚 啓)キリンカップでペルーとUAEに連敗したショックは、事前合宿地のアブダビへ移動してもチーム内に沈殿していた。 全員が揃ったところで、宮本が切り出した。「じゃあ、アツさん、お願いします」レギュラーではない自分が一番最初に…

「敗因と」 第2章 --- 団結 --- P.60 〜

P.60 〜 (文:戸塚 啓)あの日抱いたやりきれなさの行き先を、中澤佑二はいまなら見つけることができる。 「トルシエがなんで秋田(豊)さんを入れたのかが、分かりましたからね。中山(雅史)さんにしろ、秋田さんにしろ、それまで呼ばれていなかった選手…

「敗因と」 第1章 --- 愛憎 --- P.53 〜 P.57

P.53 〜 P.57 (文:戸塚 啓)システムを併用したのは、選手の柔軟性を評価していたからだった。2つのシステムに対応できると判断したからだった。ジーコ 「サッカーはマニュアル化できない。ケーキのレシピみたいなものはないんだ。戦術や約束事はもちろん…

「敗因と」 第1章 --- 愛憎 --- P.50 〜

P.50 〜 (文:戸塚 啓)ジーコが嘆いたメンタリティの低下は、他ならぬジーコの責任だとする論調がある。 ドイツの大衆紙『ビルト』のフィリップ・アレンス記者は、ジーコと中田英寿の距離感に疑問を抱いていたひとりである。『ビルト』の日本代表担当だっ…

「敗因と」 第1章 --- 愛憎 --- P.46 〜

P.46 〜 (文:戸塚 啓)リトバルスキー 「自分の考えでは問題は中村ひとりにあったわけではないんです。ひとりぐらいコンディションの悪い選手がいても、何の問題もなかったんだ。ただ、オーストラリア戦とかクロアチア戦は、3人ぐらいの選手が機能してい…

「敗因と」 第1章 --- 愛憎 --- P.41 〜

P.41 〜 (文:戸塚 啓)チーム結成当初のジーコは、松田を高く評価していた。彼に近い関係者からは、「レギュラーを保証されていたのはマツだけだった」という話を聞くことができた。 しかし、2003年3月から10月までの間に、松田はジーコの招集に応…

「敗因と」 第1章 --- 愛憎 --- P.34 〜

P.34 〜 (文:戸塚 啓)ジーコ 「高原、柳澤、福西にチャンスがあった。駒野から中田英へのパスもずれてしまった。何回も練習してきた形なのに・・・。4回もチャンスを逃したら国際試合では勝てない」 「なぜそこまで打ち急いでチャンスを潰してしまうのか…

「敗因と」 第1章 --- 愛憎 --- P.30 〜 P.33

P.30 〜 P.33 (文:戸塚 啓)1997年から国見高校を2年間指導し、2001年から京都サンガで3年間コーチを務めたドイツ人のミハエル・ヴァイスも、1−0とリードしたあとの試合運びに疑問を投げかける。国見では大久保嘉人、、京都では松井大輔やパク…

「敗因と」 第1章 --- 愛憎 ---

P.27 〜 P.28 (文:戸塚 啓)記憶をたどる準備が、このやり取りで整った。トルコの名門クラブの監督から、日本代表を率いたジーコにゆっくりと戻っていく。 「クラブは毎日練習ができるから、そういう意味ではやりやすいね。代表だと何か課題があっても、次…

「敗因と」 プロローグ --- 最期 ---

P.17 〜 P.20 (文:戸塚 啓)会話の入り口を探るまでもなく、アドリアーノは語り始めた。 「パルマで一緒にプレーしていたし、僕とヒデは友達ですから、彼のところへ行ったんです。トレーナーがひとりいるだけだったから、僕が行かなきゃと思って。あのとき…